Disclaimer This work is Copyrighted to the author. All people and events in this story are entirely fictitious. 「遊んでて大丈夫かな?」 「え? 朱里ちゃんの方から誘っておいて、それはなくね?」 「うーん。でも、やっぱりなんだか……」 12月24日。今年のこの日も、周りはみんなクリスマスに浮かれている。浮かれ顔の幸せそうな男女の中に、硬いままの表情を残した高校生が2人。 「まぁさ、補習だって受けてきたし、いつも勉強してんだし。息抜きも必要だって」 「うん……。うん、そうだよね! 息抜きもしないとね」 「そうそう。もう遊びに来てるんだから、まずは楽しもう」  年が明ければセンター試験が待っている高校3年生にとって、遊んでいる暇なんてあるわけがない。でも、高校最後のクリスマス、それに、初めて好きな人と一緒に過ごせるかもしれないクリスマス。学校の補習が終わった後、そのまま遊びに来てしまった。 「恋愛は受験生の敵!!」  そんなふうにいわれてきたけれど。こんなチャンス、ゼッタイ逃したくなかった。 「うぉっ、スゲー!」 「わぁー。今年はこんなふうなんだぁ」  遊びに来たのは、このあたりでは一番有名なイルミネーションスポット。毎年飾り付けが変わり、その年ごとに「今年のは」と批評されているこの場所。不評だった去年に比べるまでもなく、今年の評判はいいようだ。 「去年のはビミョーだったからなぁ」 「去年も見に行ったの?」 「部活のメンツだけで。そういや、去年といえばさぁ……」 学校では口数が少ないくせに、2人きりになるといろんなことを話してくれる彼。私はこんなふうに、話をしながら笑いあえる時間がなによりも好きだ。特に思い出話だと、その人の人柄が分かるような気がして。それに、思い出を語ってくれる人の顔は、なんだかとってもいい顔になっている。嫌な思い出話の時は別だけれど……それでも、そこからまた前に進んでいこうとしている顔が見えたりすると、不思議と聞いていて嫌でなかったりする。 ……誰にだって思い出はある。思わず話したくなるような楽しいことや、すっごく嫌なこと。それに、誰にも話せないようなことも。 「でさ、あいつ冗談で言ったつもりだったのに、本当にやろうとし始めて……」 彼の楽しい思い出を聞きながらも、年に一度のこの日を迎えると、私はどうしても、あの時のことが頭から離れなくなってしまう。 今から6年前の、ちょうど今日の出来事。私がまだ小学6年生だったころのクリスマスイブ。これからもきっと、ずっと私の思い出として残っていくのだろうと思う。  私には、いろんな親戚の子がいた。私よりずっと大きいお姉ちゃんや、まだ幼稚園に通っていた男の子がいたりして親戚と会うのが楽しみだった。  その中でも特に私が楽しみにしていたのは、私より3つ上の「お兄ちゃん」に会えること。もちろん本当のお兄ちゃんではないけれど、男兄弟がいなかった私にとっては、親戚の年上の男の子全員がお兄ちゃんだった。  そして、たくさんのお兄ちゃんの中で、一番良く会うのが「お兄ちゃん」だったから、他の人は「○○お兄ちゃん」と名前も呼んでたけど、このお兄ちゃんだけは「お兄ちゃん」と呼んでいた。  お兄ちゃんはかっこよくて優しくて、いつも一緒に遊んでくれた。それに……一緒にいると、なんだか不思議な気分になった。なんだか落ち着けないというか、そわそわしてしまうというか。この時間がずっと続けばいいのにと思ってしまう、本当に不思議な感覚。そんな感覚、いつから感じていたのか覚えてもいない。  ただ一つはっきりしているのは、お兄ちゃんのことをずっと「好き」だと思っていたのだろうということ。あの気持は、今の私の気持ち……彼と一緒にいれる時の気持ちにそっくりだから。不思議なそわそわ感はきっと、当たり前のことだけど、お兄ちゃんが私より年上だから感じたのだろう。幼いなりに、記憶のないくらいの時から恋する乙女だったらしい。 「ひさ君、眠くなっちゃった?」 「うん……」 「まだ夜ごはんまで時間があるから、少し寝ててもいいよ」 「そうだね。ひさ君、ちょっと眠ってた方がいいよ」 「うん」 わたしには、お兄ちゃんに可愛がってもらっていたように、すごく可愛がっていた男の子がいた。当時まだ幼稚園に通っていた ひさし君。二人姉妹の私にとって、ひさ君は本当にかわいい弟のような子だった。 「ひさ君が眠れるまで、お姉ちゃん一緒にいてあげるね」 「……(こくん)」 「あ~ら、ひさ君よかったねぇ。やさしお姉ちゃんが一緒に横になってくれるって」 6年前のクリスマスイブ。あの日は珍しく親戚が何人も来ていた。正月やお盆のように、季節の節目には必ず親戚の誰かがやってくるらしい。私達の場合はクリスマスもそうで、毎年パパの実家へ帰っていている……というか、遊びに行っている。さすがに今年はもう無理だけど、少し前までは結構遊びに行っていた。 私には、それがとてもうれしくて楽しみだった。そこにはお兄ちゃんがいるから。ちなみに、ひさ君というのは……どういう関係になるんだろう? よく知らない。でもとにかく、ひさ君のことを私はすごく可愛がっていた。 それで、私はこの時 ひさ君と一緒に眠ってしまった。理由は簡単。ひさ君の寝顔が可愛かったことと、そこがこたつだったこと。こたつに横になると、なんであんなに眠くなってしまうんだろう? 「……!!?」 眠ってからどれくらい経った後かは分からないけれど、私は体に何か、今までに感じたことのない違和感を感じて目を覚ましたのだった。 「え……ぇぇ?」 なんだか、恥ずかしい所がもぞもぞする。そういうよりも……。 (だれ? さわられ、てる……?) なにが何だかわからなかった。こたつ布団の向こうで、誰かが私の恥ずかしい所を直接触っている。すぐ隣にいたはずの ひさ君は隅っこの方で眠っているし、みんなの声もしない。さっきまではにぎやかだったのに、目に入る限り誰もいない。こたつ布団の向こうの人以外は。 (怖い……怖いよぉ……) 今すぐに逃げ出したい。でも、体が全く動かなかった。そんな私をさらに混乱させたのは、変なことをしている人の声だった。 「うわぁー。こんな感じなのか……」 その声は、私が一番助けてほしいと思っていた人の声だった。聞き間違えるはずがない。間違えなく、お兄ちゃんの声だった。私が大好きな、とってもとっても優しいはずのお兄ちゃんが、すごく変なことをしている……。どうすればいいの? 何がどうなっているの? ……頭が真っ白になってしまった。 なにも考えられない頭でどうしようか考えている間にも、お兄ちゃんはどんどん変なことをしてくる。触ったり拡げたりするだけでなく、ゆっくりと、何かを私の中に入れてくる。 (んっ! んー!!) 「おぉー、入ってく入ってく……すげぇ……」 (すごくないよぉ! お兄ちゃん何してるの……) お腹の奥で、少しズキッとした痛みを感じた。お兄ちゃんの爪が刺さったのだと思う。ビクッと身体を震わせると、私の中に入ってきた何かはさっと外に抜かれた。 でも、しばらくして、またそれは入ってくる。どんどん入ってくるものの感覚に、私は何もできなかった。なんだか痛かったはずの感覚が、だんだんと麻痺してくるような、よく分らない感じになってきていた。 それに…… (これって……エッチなこと、だよね? お兄ちゃん……) 今やっていることはすごくいけないことなのだろうと、直感的に思った。防犯教室か何かで、知らない人についていくと、こういうことをされると話を聞いた。 ……でも、相手は知らない人じゃない。私の大好きなお兄ちゃん。 (お兄ちゃん……私のこと、好きなの??) 好きな人同士もこういうことをするのだと友達から聞いた。今となっても、お兄ちゃんが私のことをどう思っていたのかはわからない。それでも、この時はそう思ったし、そう思わずにはいられなかった。 勝手にそう納得したと同時くらいに、ゆっくりと入ってきては抜かれていたものが、今までに無い動きを始めた。奥の方まで入ってきたものが、突然ぐりぐりと動き出した。だから、入ってきているものはお兄ちゃんの指なのだと分かった。 (っっ!! ぅぅ……) 声を出したらお兄ちゃんに気付かれてしまう。そう思って、私は必死に声が出るのをこらえたけれど、それでもやっぱり、声は漏れていたのではないかと思う。 「いけない!」と思うと同時に、お兄ちゃんの動きも止まったから。 お腹の中で指をぐりぐりと動かされたり、舐められたりするたびに、今までに感じたことのない変な感覚がした。時計が見えなかったから、いったいどれくらい変なことをされていたのかはわからない。お兄ちゃんにされていたことは、正真正銘の初体験だった。 (ぁっ……っ! ~~~~……) 初めのうちは声が漏れると動きを止めてくれたお兄ちゃんだったが、次第に私の声は意味をなさなくなった。もう、動きが止まったりすることはなくなっていた。 それでも私は、刺激に反応することはできても、起き上がったり逃げ出したりすることはできなかった。というより、逃げようという気持ちも起きなかった。なぜか、嫌だと思う気持ちが無かった。そうでないとすれば、嫌だという気持ちが無くなっていったのだと思う。どうしてかは今でも分からない。 「お? なんかぬるぬるしてきたな」 ひとつだけ分かっていたのは、私の恥ずかしい所がだんだんと濡れていったということだけ。ぬるぬるとした感覚が気持ち悪かったし、それをお兄ちゃんが見ている……とにかく恥ずかしかった。何度かティッシュ(だと思う)でぬるぬるをふき取ってもらったにもかかわらず、それでもどんどん濡れていくのだから。 もっと恥ずかしかったのは、お兄ちゃんに写真を撮られてしまったこと。あのころには、中学生だってもう普通にケータイを持っていたので……。お兄ちゃんも、普通にケータイを持っていた。そのケータイで、私の恥ずかしい所を何枚も撮影していたはず。 シャッター音が何度となく聞こえた。きっとムービーも撮られてしまっている。変なことをするのはよくっても、写真やムービーだけは消してほしかった。でも、そんなことを言うことはできず、あのデータがどうなったのかは、今も分からないまま。 「かわいいなぁ……」 うれしかったのは、変なことをしているお兄ちゃんが、何度もこうつぶやいていたこと。お兄ちゃんは私のことが好きだから、変なことをしているのだという言い訳が成り立った。 お兄ちゃんの指は、おなかの中にとどまらず、おしりの中にも入ってきた。 「やりにくいな……」 そんなつぶやきを聞いて、仰向けに寝ていた私は横向きになったりもした。お兄ちゃんに喜んでもらえるのならと思って。 いつもは出ていくばかりのところに、何かが入ってくる感覚。あの感覚は今でも忘れない。 おなかが何だか苦しくなって、変な感じがした。私は何度もビクビクと反応していた。特に、女の子の一番敏感な部分を触られてしまったとき……。気持ちよかったのかどうかは分からないけれど。 もう一つ分かっていたのは、お兄ちゃんは、私が起きていることを知っていたのだろうなぁということ。変なことをされているうちに、お兄ちゃんが前か後ろのどちらを触りたいのか、私は分かるようになった。 横向きでいたら、仰向けに倒そうとしたり、うつぶせにしようとしたり。両手を私のお尻と恥ずかしい所に優しく添えて、ゆっくりと動かそうとするのだ。だから私も、その通りに寝がえりをうった。 乱暴に動かそうとせず、ちゃんと両手を――変な所にではあるけれど――優しく添えて私を動かそうとしていたお兄ちゃん。それも、お兄ちゃんがきっと、私のことを好きなのだろうと思わせてくれた原因の1つだ。 寝返りを打つと、お兄ちゃんは嬉しそうに――きっと、うれしそうにしていたと思う――どちらかを触った。「前」の時は、片手で拡げて、もう片方の手の指を入れてきたり。おしりの時は、両手でおしりをもんだりして、やっぱり指を入れてきて、かき混ぜるようにされたり。 前やおしりを拡げられたと思ったら、「カシャッ」というカメラの音がしたり、「スタート!」と英語が聞こえたかと思うと、同時にお兄ちゃんの変なことも始まって、「カット!」という合図で、お兄ちゃんも止まったりするときも何度となくあった。 そういえば、初めのうちはスカートの下にレギンスを履いていたのに、気づいた時にはパンツごと脱がされていた。 ……いつ終わるかもわからない変なこと。 怖かったのは、おちんちんを入れられてしまうのではないかということだったけれど、それは無かった。ただ、その代わりに何かすごく細いものや、それよりは太いけれど、指よりは細いもの……何種類かの、指以外の何かを前やおしりに刺されて、写真やムービーを撮られてしまった。 初めのうちは、前か後ろだけに1本の何かを刺しては抜いてというふうだったのが、次第に本数が増えていって、前にも後ろにも何かが何本も刺されて。恥ずかしい所やお尻が痛くなるくらい拡げられて、その分何かが刺されていって……。 「まだ入るかな……」「おー、入った入った」「女の子って結構拡がるんだ」 「朱里ちゃんのおまんこ、すごいなぁ……」「あ、お尻もぬるぬるしてきちゃってるな」 ……お兄ちゃんはとても喜んでいたらしい。なんだかすごく恥ずかしい事を言われていたけれど。いろんな感動の声をもらしながら、写真やムービーを撮りつつ、私に変なことをたくさんしていた。 結局、みんなはどこかへ買い物か何かに行っていたらしく、外で車の音が聞こえると同時に、お兄ちゃんは前に刺されていた何本かの何かを抜き取り、私にパンツやレギンスをはかせて……最後にもう一度、パンツの中に手を入れて。お尻と恥ずかしい所をもんだり、指を入れたりしてから、急いで外に出て行ってしまった。 「お尻とおまんこのぬるぬる、後で拭いてあげるね」 お兄ちゃんは最後にそう言っていたけれど、そんな暇はなかったみたい。だから、私のパンツは一気に湿っていって……。この日一日、すごい気持ち悪かった。 すぐに起きてトイレに行くこともできたけれど、なぜかそうできなかった。みんなが中に入ってくるまで、身体を起こして待っていて。「あ、朱里ちゃん、目を覚ました?」なんてみんなが話しかけてくるから、一通り話してからトイレに行った。 トイレに行って恥ずかしい所を見てみると、見たことのない変なぬるぬるでいっぱいになっていた。見ることはできないけれど、トイレットペーパーで拭いてみると、お尻も結構濡れていたみたいだった。 お兄ちゃんと一緒にお風呂に入ったことなんて何度もあるから、見られるだけならいいと思っていたのに。トイレに入ってから、わたしはすごく恥ずかしくなった。 それに、この時の私の恥ずかしい所には、生え始めたばかりの産毛が姿を見せていた。変なことをされている間は、そんなことぜんぜん頭になかった。顔がすごく熱くなったことを覚えている。お兄ちゃんが恥ずかしいことを呟いた時と同じくらい、顔が真っ赤になっていたのではないかと思う。 それと同時に、おなかの中でのお兄ちゃんの指の動きや、指や変なものが入ってくる感覚が突然よみがえり、まだ残っていたジンジンとした感じが強く感じられて……。一番恥ずかしかった、前やおしりをお兄ちゃんに舐められた、あの感覚までよみがえってきた。私はどうすることもできなかった。 泣くでもなく、うれしく思うでもなく、ただ前と後ろのぬるぬるをふき取って、ついでにおしっこも済ませて。トイレから出て、眠ってしまう前と同じように、みんなとクリスマスイブを過ごした。 …でも。この日1日、前と後ろのジンジンとした感じ……おなかの奥の方の変な感じはなくならなかった。 あの時も、6年経った今も、これは別に嫌な思い出ではない。大好きなお兄ちゃんが、私のことを好きだと思ってくれていたと分かったし、そんなお兄ちゃんが、すごく喜んでくれていたことが分かったから。 ひょっとしたら、こんなふうに思うこと自体、何か変なのかもしれない。 「朱里ちゃんは何か、クリスマスの思い出とかってあるの?」 「……え? あ、ごめん。なになに?」  6年前のことが頭の中でよみがえっていたから、彼氏に突然話を振られて少し混乱してしまった。 「あ、ごめんごめん。ここにぎやかだからなぁ」 「そうだね。きれいだけど、2人っきりにはなれないね……」 私のクリスマスの思い出。それは、誰にも話すことのできない思い出。 「そうだね……向こうの方にも行ってみようか?」 「うん、行ってみよ。まだ見に行ってないし」 --- 「おぉ? ここ、結構良くね?」 「ほんとだぁ~」 歩いていくと、そこにはほとんどイルミネーションは無かった。かわりに、きれいに飾られている所が一望できる、なかなかの良いポイントになっていた。周りにはいい感じの男女が数組。 「ずっと歩いていたし、あそこらへんに座ってみる?」 「うん、そうしよっか」 周りのカップルも、何かをひそひそと話し合っている。ちょうど来た家族連れのちっちゃい子がにぎやかに騒いでいて、雰囲気を壊してはいるものの……。どのカップルも2人きりの世界を楽しんでいた。もちろん、私達も。 「……朱里ちゃん」 「なに?」 「今日、誘ってくれてありがとう。というかごめん。本当は俺の方から誘うのが普通なのに」 「えー? そんなことないよ。私だってごめんね。忙しいのに」 「いや、誘ってもらえてマジでうれしい。俺、こうやってイブとか過ごすの初めてだし」 「私も。……それに、高校最後のクリスマスだし。だから、一緒にいたかったんだぁ……」 家族連れもどこかへ行って、周りはすごく静かだった。受験戦争の合間の、ほんのつかの間のクリスマス。思い切って彼を誘って良かったと思う。この時間がずっと続いてくれればいいのに、そう思った。 「朱里ちゃん、よかったらさ……」 「?」 「家、今日親が知り合いと飲みに行ってるからさ。……よかったら、家来ない?」 「いいの? 大丈夫?」 彼の家は、自由そうでこういう面には厳しいらしく。付き合って半年くらい経つけど、まだ彼の家に行ったことはない。 「帰ってくるときは絶対に連絡がくるからさ。少ししかいられないかもしれないけど、どう?」 「うん、いいよ! これってきっと、私達へのプレゼントだよね」 「え? プレゼント?」 「うん。だって、初めて彼氏の家へいけるのがクリスマスなんて、なんかすごくない?」 「んー……そうか?」 「もー、いいじゃん別に。ねぇ、せっかく女の子を誘ったんなら、早くしないとお父さんたち帰ってきちゃうよ?」 「なんか、バカにされてる感があるんだけど」 「バカになんてしてないーっ! こう見えても、すっごいうれしいんだからっ」 私は初めて彼の家へと遊びに行った。彼のお父さんたちが帰ってくる前に、余裕を持って私は帰ることになった。心配する必要もなく、彼との時間をたっぷりと楽しんで。 今年のクリスマスは、2つもプレゼントをもらってしまった。1つは、好きな人と過ごす初めてのクリスマス。そしてもう1つは……。6年前のお兄ちゃんもやはり、彼と同じくらい喜んでくれていたのだろうと思う。きっと彼と同じくらい、私のことが好きだったのだろうと思う。 「今日は……本当にありがとう」 「いや、おれもマジでありがとう。……嫌じゃなかった?」 「ううん、全然嫌じゃなかった」 「そう……」 「うん……」 今更心配しても遅いだろ! って気もするけれど、彼もやっぱり優しいなぁと思う。 「また来年ね」 「そうだね。今日は本当にありがとう」 「うん! じゃぁね。バイバイ」 「気をつけて」 こんな時間がずーっと続けばいいのにと、心から願った。見送る彼に手を振って、あの時と同じような感覚をおなかの奥に感じながら。